峡陽文庫

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2008年 10月 25日

『松林軒百貨店』

【株式会社甲府ビルテ゜イング】
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 昭和初期の金融恐慌以降、百貨店などの新たな小売業態として、松坂屋、三越、松屋、高島屋、白木屋などの県外百貨店が数回に渡り、甲府において出張販売を行うなど、活動が活発になりました。こうした状況は、県外百貨店が甲府を地方都市として好望の地であると目論んでいるということから、市内の小売業者にとっては、その影響は小さくなかったことから、こうした県外百貨店の進出を食い止めるための共同店舗施設が計画された結果、『株式会社甲府ビルデイング』が県内有力者を中心に昭和5年12月に設立されました。

【ビルの建設】
 昭和6年2月、森田組、飛島組、木田組、大林組などによる入札の結果、大林組が落札し、同年3月22日より建設に着工し、昭和7年4月頃に建物の外装はできたものの、経済不況による資金計画の不具合から、昭和11年頃まで債権問題による扮装のため立ち行きがままならない状態が続いたことから、ビル隣接地の菓子舗松林軒がこの建物を引き継ぎ、山梨県内最初の本格的百貨店として昭和12年10月2日に松林百貨店が開業しました。


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 松林軒百貨店は、地上6階・地下1階、売場面積5000㎡、5階に大食堂、6階にホールや催事場を設けるなど、当時の甲府における高層の大店舗でした。
 しかし、昭和20年7月の甲府空襲で外観を残して焼失し、その姿が写った写真は甲府空襲のシンボル的な姿として今も多くの人々の記憶にあると思います。
 昭和29年には、浜松市に本店を置いた松菱百貨店の系列として、甲府松菱として営業していましたが、山梨交通が国際興業の系列となった際に、甲府松菱が買収されるとともに、売場面積増設と甲府駅前への移転を行い、店名も山交百貨店と改称されました。
 その後、松林軒百貨店ビルは総合娯楽ビルとして、甲府会館の名称となり近年まで現役のビルとして使われてきましたが、老朽化に伴い取り壊され、その跡地にはホテルが建てられています。

「松林軒喫茶部のメニュー表」
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「屋上7階部分にあった写真部の案内」
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━甲府名所 桜町通り━
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 桜町通りを南側から北方向の景観です。通りの左側に甲府桜町郵便局、右側には永井呉服店、芦沢漆器店など、二階建て程度の店舗が並ぶ中で、左側の松林軒百貨店は、その大きさが際立っていたことが分かります。

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by kaz794889 | 2008-10-25 18:18 | 百貨店 | Comments(1)
Commented by go男 at 2008-10-27 16:17
すばらしい写真ですね。
感動しています。


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