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2015年 06月 06日
【「山梨日日新聞」 平成27年6月5日】 ![]() 山梨日日新聞に掲載された、板橋区立美術館で開催中(4月11日~6月7日)の『近代日本の社会と絵画 戦争の表像』展を先月末に観覧した。 随分以前から、同美術館が所蔵する新海覚雄の『貯蓄報国』を観覧したいと思っていたが、現在開催中の館蔵品展に展示されていることを知り訪れたものである。 貯蓄報国は、「皇軍将兵の活躍と労苦を美術を通じて銃後に伝へ以て前線将兵に感謝の誠を捧げると共に一億国民の士気高揚に資すべく」を目的として昭和18年に開催された第2回大東亜戦争美術展に出品され日本美術報国会賞を得た作品であり、写実的な郵便局の日常業務の光景が描かれた作品である。 【新海覚雄 『貯蓄報国』】 『貯蓄報国』は、同展の作品リストによれば、112.4×163.0の油彩・キャンバスによる作品である。盧溝橋事件以降、飛躍的に増加した戦費の一部に郵便局や銀行に預入された預貯金を充てることが計画され、「国民貯蓄奨励ニ関スル件」が 昭和13年4月19日に閣議申合されるなど、昭和13年から政府主導の国民貯蓄奨励運動が展開され、昭和13年度は80億円の国民貯蓄目標が制定されることとなった。 上記の掲載記事にある「カウンターの内側で銃後の女性が働く。左奥の壁をよく見ると、戦闘機とみられるイラストに「270億」と記されたポスター。数字は、貯金の目標額とみられる。」の270億は、まさに『貯蓄報国』が描かれた昭和18年度の国民貯蓄目標の目標金額である。 また、そこに描かれているのは、貯蓄の手段の一つとして当時発行されていた国庫債券や報国債券などの債券の発行日に、それを求めて郵便局の為替貯金窓口に並ぶ市井の人々と、それに対応する郵便局職員を描いているのだろう。 昭和13年度以降、毎年度ごとに戦争の進展と比例した国民貯蓄目標が示され、昭和16年には国民貯蓄奨励運動を更に組織的に展開するため、国民は居住地域の市町村や勤務先、通学先などに結成された国民貯蓄組合の構成員となり、それらの組合で貯金を行うことを定める「国民貯蓄組合法」が公布され、同年6月20日から施行されるなど、終戦までの数年間、まさに貯蓄報国のスローガンのもとで貯蓄運動が展開されていった。
by kaz794889
| 2015-06-06 23:31
| 戦時期の山梨
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