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2009年 01月 31日

市制五十周年記念 全日本産業観光甲府大博覧会

 明治22年の市制施行から50年を記念し、観光都市甲府を全国的にアピールするための甲府市主催、「全日本産業観光甲府大博覧会」の開催が昭和11年頃に計画され準備が進められていった。
 当時、全国各地で開催された種々の博覧会は開催都市のイメージアップが図られていることから、 昭和13年3月25日から5月13日までの50日間の予定で開催が決まり、舞鶴公園、遊亀公園や市役所建設予定地として買収した県庁跡地(現在の市役所所在地)などを会場とし、ネオン塔、野外劇場、水晶館、山梨産業館、発明館、日蓮館、航空防衛館、近代科学館などの展示場の建設が計画され、昭和12年に入り宣伝ポスターや建物の手配などの準備が着々と進んでいった。

【甲府市鳥瞰図】
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 この鳥瞰図は、博覧会開催のため当時全国的に活躍していた鳥瞰図絵師、吉田初三郎によるものであり、鳥瞰図の他にも吉田初三郎による甲府市内や山梨県内の四季の風景を描いた絵葉書を発行するなどの準備が進められていた。




 昭和12年に入り、開催に向けた準備が一段と進む中、7月7日に盧溝橋事件が発生し日中戦争に突入するなど、国内においても戦時体制となったことから、博覧会開催の一時延期などが論議される中、日中戦争長期化の様相や軍部からの要請などから開催の目途もたたなくなり、昭和12年8月に博覧会の開催は中止となり、「全日本産業観光甲府大博覧会」は幻の博覧会となったのである。

━全日本産業観光甲府大博覧会(開催ポスター)━
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━全日本産業観光甲府大博覧会(開催ポスター)━
市制五十周年記念 全日本産業観光甲府大博覧会_f0191673_22142113.jpg


 博覧会で使用する展示場の建設にあたっては、昭和12年3月15日から5月31日までの間、名古屋市で開催された「名古屋汎太平洋平和博覧会」における展示場の使用済資材を入手して建築することとし、建築の請負を待つ状態であったなど、諸準備が進んでいた中での開催中止により甲府市には予想外の大欠損が生じたようである。
 
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by kaz794889 | 2009-01-31 23:13 | 博覧会 | Comments(2)
Commented by ひろ坊 at 2009-02-01 22:46 x
吉田初三郎氏の鳥瞰図は、いつ見ても凄い。
Commented by 峡陽文庫 at 2009-02-03 23:32 x
初三郎の鳥瞰図はいいですよね。
山梨県の関係では、甲府の他に富士身延鉄道、身延山、古名屋の鳥瞰図があります。


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