峡陽文庫

kaz794889.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

カテゴリ:観光案内記( 1 )


2016年 01月 17日

山梨時報社発行の『甲州案内』

【明治36年6月発行『甲州案内』赤版】
f0191673_22581833.jpg 山梨県における近代の本格的な観光事業の始まりとなった契機のひとつが、明治36年6月11日の中央本線初鹿野駅(現在の甲斐大和駅)から甲府駅までの延伸開通である。

 中央東線の甲府駅延伸を機に出版された観光案内記の一つが、明治36年6月11日に山梨時報社が発行、柳生堂が発売元となった『甲州案内』である。

 「本書は中央東線の開通を機として甲州に出入りする旅客の便益に供せんが為に編纂せるものなれば其順路を中央線の各停車場に起して順次其の附近に及ぼしたり。」と本書の例言に記されているとおり、上野原駅から小淵沢駅(小淵沢駅までの延伸は明治37年12月21日であるが、既に本書発行時点では同日に延伸が予定されていたもの。)までの各駅ごとの周辺観光地等の案内と山梨県の概説を主とし、写真と商店等の広告により構成された215頁の案内記である。

 また、例言には前述の内容とともに、「初め本書を編纂するに当り本社は県下の社寺旧跡又は勝地等の著名なるものに付きては勉めて遺漏なからん事を期し且つ彼此の権衡を得んが為め広く県下有志者の意見を徴し挿入せる写真の多くは社員自ら之れを撮影し、取捨選択を得ん事を欲したるも編纂終て更に之れを一読すれば選択未だ当を得ず編制序を失し行文亦た甚だ熟せざるものあるを覚ゆ、左れど中央線開通の日は巳に切迫し書肆の発刊を促されど急なれば強て改竄を加へず追て再刊の日を期し更に増補訂正する處あるべし。」と、本書の編纂について記されている。
 








【明治39年10月発行『甲州案内』緑版】
f0191673_22582535.jpg 中央東線の甲府駅延伸を機に発行された『甲州案内』であるが、明治期における山梨県内の大規模イベントとである、明治39年10月1日から11月10日までの41日間にわたる1府9県連合共進会の開催を機に、明治36年発行の訂正増補版として位置づけられた『甲州案内』が明治39年10月10日発行されている。

 [山梨県主催 一府九県連合共進会]
  http://kaz794889.exblog.jp/10334101/
 [山梨県主催 一府九県連合共進会 2]
  http://kaz794889.exblog.jp/10366240/


 本書の例言には「本書は去る明治36年6月11日中央東線の甲府駅開通の日を以て初版を発行し今回之れを訂正増補して再版を発行せるものなり。」と記されている。
 全体構成は明治36年発行のものと同様であるが、当初の発行から3年半の間に進んだ県内の観光状況等を踏まえ、富士登山、身延参詣、御嶽探勝などの個別案内が加えられた、208頁の案内記となっており、定価30銭で甲府市内の柳正堂、朗月堂、徴古堂など7軒の書店において販売されている。

 甲州案内の発行元である「山梨時報社」は明治33年2月11日に桜井栄太郎、浅尾長慶らにより創刊された、毎夕刊紙である「山梨時報」を発行していた新聞社である。
 なお、「山梨時報」は明治40年2月11日に「山梨日日新聞」に吸収合併されている。





にほんブログ村 地域生活(都道府県)ブログ 山梨情報へ ブログをご覧いただきありがとうございます。峡陽文庫のブログ運営の励みとなります、ご覧の都度1日一回、左の『「山梨情報』をクリックいただけますようお願いいたします。



by kaz794889 | 2016-01-17 12:47 | 観光案内記 | Comments(0)